100%生きている細胞によるロボットが開発されたという発表がありました。
ドラえもんや鉄腕アトムみたいに生き物みたいなロボットができるのではないかと想像していたら、
逆に生き物を材料としたロボットができたということに驚きを隠せません。
目次
ゼノボットという名前の由来
ゼノボットにはアフリカツメガエルの細胞が使われています。
アフリカツメガエルの学名は「Xenopus(ゼノーパス)」なので、Xenobotsと名付けられました。
ゼノボットの特徴
基本的な特徴を列挙します。
-開発したのは米バーモント大学とタフツ大学の研究グループ
-100%生きている細胞
-ES細胞を使っている
-胚から摘出した、皮膚と筋肉の2種類の幹細胞を使用
-口がないので栄養摂取ができない
-寿命は一週間程度
-水中を動き回る
-酸素による呼吸をする
-細胞内の栄養で動き続ける
-死ぬまでプログラム通り動き続ける
-死因は餓死
-自立歩行する
-物を運ぶことが出来る
-ダメージを受けても自然治癒する
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ゼノボットはどのような動作ができる?
最初は直進だけでした。
その後、以下のような動作がなされるようにプログラムされました。
-複数のゼノボットがお互いに連動して、小さな荷物を押す
-ドーナッツ状の空洞を作り、内部の空洞に荷物を抱え込んで運ぶ
ゼノボットの作り方、仕組み
「ディープ・グリーン」というスーパーコンピューターによって細胞の配置を設計することによって作ります。
材料は筋肉と皮膚の細胞です。
筋肉部分は心臓の筋肉です。
鼓動するように動きます。
動く部分と動かない部分を立体的に組み合わせて、期待どおりに動く形状を作ります。
そのために、スーパーコンピューターで計算します。
計算結果を元に、実際に細胞を組み上げてロボットを作成します。
なので、今の所、単純な動作をすることしかできません。
プログラム通りに動くということですが、プログラミング言語でプログラムするわけではなく、
スーパーコンピューターで計算した結果の形状が特定の動作をするプログラムにあたるという意味なのでしょう。
実際に動いているところは以下の動画で確認することができます。
複数の動作パターンを外部から遠隔制御できるようになれば、
ドローンのように遠隔操作したり、プログラミングによるコントロールも可能になるでしょう。
ゼノボットは何の役に立つの?
何か新しいものができると、すぐに何の役に立つの?という風潮があまり好きではありませんが、
ゼノボットはうまくいけば早い段階でいろいろ役に立ちそうな気がします。
ものを運ぶことができるので、人間の体内に入って薬を患部に直接運んだりするのに使われると考えられています。
自分で考えたことや、どこかに書いてあった使い道を列挙してみます。
-血管内をパトロールして血栓を除去
-脳腫瘍を除去
-がん細胞を除去
-体内の放射性物質を発見して体外に運び出す
-体内で新しい臓器を作って、古い臓器を撤去する
有機物でできているので、医療ロボットとしての活用の期待値が高いです。
危険なこともたくさん考えられます。
-生物兵器
現時点では、単純な運動をするだけなので、上記のようなことは実現できません。
ゼノボットは何が画期的?
ゼノボットは何が画期的なのでしょうか?
単純な運動しかできないし、水中で活動できるといっても他の防水の機械を使えばよいです。
ゼノボットが通常の無機物によるロボットと違って期待できる点を考えてみました。
-小さくしやすい
駆動部分と電源部分を分ける必要がないので、小さく作るのが容易です。
むしろ、現時点では大きな物を作るほうが難しいくらいです。
ゼノボットの大きさは1ミリ以下です。
-柔らかい
細胞からできているから、柔らかいです。
機械との接触による人間のケガが減りそうです。
-電池不要
今は細胞内の栄養で活動していて、栄養補給ができません。
活動環境に応じて栄養補給できるようになれば、電池不要で動き続けることができます。
-死亡する
死亡するし、死んだら分解されます。
人体内に送っても、死後、分解されて排出されるでしょう。
自然に還るロボットです。
エコですね。
-水中で呼吸できる
細胞膜から酸素を取り込んで、細胞内の栄養を使って動いているということは、
水中で自家発電しながら動作しているようなものです。
-自己修復する
半分に切っても再生するそうです。
これは、普通の機械にはない機能です。
ゼノボットの弱点
生き物なので弱点があります。
-乾燥に弱い
細胞なので水分が必要です。
-呼吸できないと動けない
現時点では、皮膚呼吸で動作しています。
-宇宙では活動できそうにない
宇宙船や放射線が多いし、真空だったり、宇宙空間で生きるのは難しそうです。
-低温、高温での活動も難しい。
主な成分が水なので凍る温度や蒸発する温度は無理です。
環境に関する弱点が多いですが、表面を別の物質で囲んでしまえば問題ないとも考えられます。
そのうち、生体サイボーグ、ゼノボーグができるでしょう。
ロボットが生きているなんて、今後、倫理的な問題も出てきそうです。