Excelで作業中、設定した覚えがないのに**「文字の上に勝手に取り消し線が入る」**ことはありませんか?
「セルの書式設定を見てもチェックは付いていないし、条件付き書式も設定していない。なのになぜか線が消えない……」
この現象、実はExcelの比較的新しい機能が関係していることが多いのです。本記事では、この「謎の取り消し線」を消すためのチェックリストと、根本的な解決方法を詳しく解説します。
目次
ステップ1:まずは基本の「書式設定」を再確認
まずは、基本的な設定ミスがないか確認しましょう。意外と「一部のセルだけに設定が残っていた」というケースもあります。
セルの書式設定をチェック
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取り消し線が表示されているセルを選択します(複数ある場合は範囲選択)。
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[Ctrl] + [1] (または右クリック > セルの書式設定)を押します。
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[フォント] タブを開きます。
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文字飾りグループにある [取り消し線] のチェックが外れているか確認してください。
罫線(けいせん)をチェック
もし「取り消し線」にチェックがないのに線が見える場合、**「セルの真ん中に引かれた罫線」**である可能性があります。
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同様に「セルの書式設定」の [罫線] タブを確認し、セルの内側に水平な線が引かれていないか確認しましょう。
ステップ2:「条件付き書式」に隠れていないか確認
手動の設定が白なら、次は「自動で書式が変わるルール」を疑います。
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[ホーム] タブ > [条件付き書式] > [ルールの管理] をクリックします。
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「書式ルールの表示」を [このワークシート] に切り替えます。
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一覧の中に「取り消し線」を適用するようなルール(例:ステータスが完了なら消し線を引く、など)がないか探します。
もし不要なルールがあれば、ここで削除すれば解決です。
ステップ3:【本命】計算方法が「手動」になっていませんか?
「書式も条件付き書式も真っ白なのに線が出る」という場合、原因はほぼ間違いなくこれです。
最近のExcel(Microsoft 365など)には、**「古い値の書式設定(Stale Value Formatting)」**という機能が搭載されています。
なぜ勝手に入る?「古い値の書式設定」の正体
Excelの計算設定が「手動」になっている場合、数式の元データを変更しても、結果のセルはすぐには更新されません。 このとき、Excelが**「表示されている数値は最新ではありません(計算が追いついていません)」**という警告として、自動的に取り消し線を引くようになったのです。
解決方法:再計算を実行する
まずは、キーボードの [F9] キーを押してみてください。 これで計算が実行され、数値が最新状態に更新されるとともに、取り消し線が消えるはずです。
ステップ4:再発防止!計算方法を「自動」に設定しよう
再計算で線が消えたとしても、設定が「手動」のままだと、データを書き換えるたびに再び取り消し線が現れてしまいます。特別な理由がない限り、**「自動計算」**に戻しておきましょう。
設定手順
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上部メニューの [数式] タブをクリックします。
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[計算方法の設定] をクリックします。
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[自動] にチェックを入れます。
これで、数式が常に最新の状態に保たれ、警告の取り消し線に悩まされることはなくなります。
なぜ勝手に「手動計算」に切り替わるのか?
「自分では設定を変えていないのに!」と思う方も多いでしょう。実はExcelには**「その時最初に開いたファイルの計算設定を引き継ぐ」**という性質があります。
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たまたま誰かが「手動計算」で保存したファイルをもらった
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そのファイルを一番最初に開いた
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その後に自分のいつものファイルを開いた
この流れだけで、自分のファイルまで「手動計算」に巻き込まれてしまうことがあるのです。もし今後また取り消し線が出たら、「あ、手動計算になってるな」と思い出してください。
まとめ
Excelで勝手に取り消し線が出る原因の多くは、**「手動計算モードによる古い値の警告」**です。
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[F9] で再計算して線が消えるか確認
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[数式] > [計算方法の設定] を [自動] に戻す
この2ステップで、ほとんどのケースは解決します。 「壊れたかな?」と焦る必要はありません。Excelの親切な通知機能をうまく乗りこなしましょう!